都市化が少子化の一因である
近年、日本では少子化が大きな社会問題となっている。少子化の原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っているが、その一因として都市化の進展があると考えられる。
約100年前の日本、すなわち大正期から昭和初期を振り返ると、日本人の大多数は農村に住み、農業に従事していた。当時は三世代同居が一般的であり、近所付き合いも密であった。そのため、育児は親だけが担うものではなく、祖父母や近隣住民が協力することがごく自然に行われていた。しかし、現代では都市化が進み、核家族世帯が主流となっている。その結果、育児の負担は家庭内、しかも多くの場合は親、特に母親に集中しやすくなっている。
例えば、スーパーマーケットなどで、小さな子どもを一人、あるいは複数人連れて買い物をしている母親をよく目にする。幼い子どもの安全を確保しつつ、買い物を済ませ、帰宅するだけでも、大きな労力を要する。かつての農村社会であれば、このような場合、祖父母や近隣住民に子どもを預けることが可能であり、親の負担は現在ほど重くなかったと考えられる。現代では育児負担が大きので、多子を避けるようになるのは自然である。
産業革命以降の工業化に伴う都市化は人々の生活を豊かにしたが、家族や地域による育児の分担を弱め、少子化を引き起こしやすい社会構造を生み出したようだ。

